【電験×法規】IEC接地システムの読み方と種類を図解で完全整理

TN-C、TN-S、TT、IT…

接地方式の名前を見て、すぐに意味がわかるだろうか。

実は、文字1つ1つに意味がある。読み方を押さえれば、種類を丸暗記する必要はない。

【命名規則】文字の意味を理解する

国際規格 IEC 60364 が、接地システムの命名ルールを定めている。

構造はシンプルだ。

第1文字は電源側の接地方式を表す。

第2文字は機器側の接地方式を表す。

第3文字(TN系のみ)はN線とPE線の構成を表す。

各文字の意味は以下のとおり。

T=Terra(テラ)。大地に直接接地することを意味する。

N=Neutral(ニュートラル)。機器の保護導体を電源の中性点に接続することを意味する。

I=Isolated(アイソレーテッド)。非接地、または高抵抗を介した接地を意味する。接地ゼロではない点に注意が必要だ。

C=Combined(コンバインド)。N線とPE線を1本のPEN線に兼用することを意味する。

S=Separated(セパレーテッド)。N線とPE線を完全に分離することを意味する。

たとえば「TN-S」は、電源側T(大地に直接接地)、機器側N(中性点に接続)、構成S(PE/N完全分離)と読み解ける。命名規則を理解していれば、初めて見る方式名でも構造を推測できる。

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【4種類の比較】配線の何が違うのか

命名規則を踏まえて、主要4方式の配線構造を整理する。

N線とPE線を1本のPEN線で兼用する。導体数は4線式でシンプルな構成だ。接地点は電源側の1箇所のみ。欧州の旧設備に多く採用されている。

注意点が1つある。PEN線が断線した場合、機器の外箱が電位を持つリスクがある。4方式の中で最も安全性が低い。

電源側はTN-C(PEN線)、負荷側でPE/Nを分離してTN-Sに切り替える混合方式だ。導体数は電源側4線、負荷側5線となる。

重要なのは、分離点以降はPENに戻せないという点だ。欧州の既存建物改修でよく採用される。

変圧器から終端まで、PE線とN線を完全に分離して引き通す。導体数は5線式。接地点は電源側の1箇所だが、PE線が全長にわたって独立しているため安全性が高い。欧州標準・IEC準拠の新設設備で採用される。

電源側と機器側の接地が完全に独立している。系統接地と機器接地は電気的に非接続であり、接地点は2箇所存在する。

日本国内の低圧設備で主流の方式がこれだ。

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【日本とグローバルの違い】なぜ接地方式が異なるのか

日本国内の低圧設備はTT方式が標準だ。電技解釈でも、機器接地は独立した接地電極を設けることが基本とされている。

一方、欧州はIEC 60364を直接採用しており、TN-S方式が新設設備の標準となっている。既存建物ではTN-C-Sも混在する。

実務で差が出るのがデータセンターだ。

海外資本のデータセンターや、IEC準拠で設計されたグローバル案件ではTN-S方式が採用されることが多い。理由は2つある。

1つ目は安全性だ。PE線が独立しているため、漏電時の保護が確実に機能する。

2つ目はノイズ対策だ。N線とPE線が分離されているため、N線に乗ったノイズがPE線(機器筐体)に回り込みにくい。精密機器の多いデータセンターでは重要な要素になる。

日本国内の案件しか経験がないと、TN系の図面を見たときに混乱することがある。グローバル案件や海外設備を扱う立場であれば、TN-S方式の配線構造は必ず押さえておきたい。

【試験対策】法規で狙われるポイント

電験の法規科目では、IEC規格関連の問題が出題される。接地システムに関して特に注意すべき点を4つ整理する。

①第1文字と第2文字の意味が逆になりやすい。「TN」は電源側T(大地接地)、機器側N(中性点接続)の順だ。

②第3文字のC/SはTN系にしか存在しない。TTやITにC/Sはつかない。

③TN-SとTTの違いは接地点の独立性だ。TN-Sは1箇所(電源側のみ)、TTは2箇所(電源側・機器側それぞれ独立)。

④ITのIはIsolated(絶縁)であり、接地ゼロではない。高抵抗または非接地という意味だ。1線地絡時に回路が成立しないため、病院や半導体工場など継続運転が必要な設備で採用される。

まとめ

命名規則を理解すれば、接地方式の種類は暗記不要になる。

文字の意味から構造が推測でき、試験でも実務でも応用が利く。日本国内の設備だけでなく、グローバル案件やデータセンターを扱う立場であれば、TN系の理解は特に重要だ。

図解2枚を保存しておくと、現場や試験前の確認に使えるはずだ。